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2006年5月19日 (金)

かつて夜の灰色から現れ出て

Fromgraynight  色の着いた部分の欄外に”Bahn(行路)”という題名がついていて、「かつて夜の灰色から現れ出て……」で始まる詩の文字そのものが絵になっている。ドイツ語が読める人なら、詩を辿ることができる。隙間なく埋められた細い線の文字と、その線を埋める淡いステンドグラスの様なデリケートな色彩のざわめきが、元の詩以上に、詩を詩たらしめている。それゆえ、ドイツ語が読めなくても、詩のもつ敬虔さ、きらめきの中の静かさ、といったものを私たちは感じることができる。

 クレーの絵の中で文字は重要な意味を持っているけれども、この絵のように純粋に文字だけで絵が構成されているのは珍しい。挿し絵ではなく、絵と文字が高い抽象度で一体化している点で、まさに視覚による歌、視覚による音楽と言えるのではないだろうか。
 砂をまぶした中央の部分は、長い間地面に埋もれていたこの詩自身が、時期を得て地中から今現われ出たという印象を強めている所も面白いと思う。

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