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2006年5月19日 (金)

険しい山道を天使に護られて

Roadwithangel  「険しい山道を天使に護られて」は、天使像の中では比較的早い時期の作品だ。
 伝統的な図像や、神話のモチーフを借りることもなく、しかも一筆書きに近いストイックな表現でありながら、溢れる情感と敬虔さはどうだろう。遠くの山は後にせざるをえなかった故郷だろうか。道連れとなる人さえいない険しい路を旅人は、頼りなげながらも、迷うことなく歩いていく。その背後には、天使が旅人と同じ方角をしっかり見つめて、体を包みこむように大きな翼を広げている。旅人に天使の姿は見えない。けれどもその足取りの中に天使の加護を感じて、振り向かずに歩きつづけていくだろう。その道こそ天上へ続く道である。

 天使の翼がどこまでも伸びて行くアルプスの蒼い空の色を、私は線描の彼方にはっきりと感じることができる。こういう絵を見ると、私はクレーに出会えて本当に幸せだとしみじみ思うのである。

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