« 楽しいさえずりの機械 | トップページ | 険しい山道を天使に護られて »

2006年5月19日 (金)

死の天使

Angelofdeath  恐ろしい絵だ。
 中央から少し下にそれたところに、闇の世界がぽっかり口を開けている。その闇の深さは全体的に沈んだ色調の中でも際立っていてる。これほどの暗い闇が描かれた絵を私は知らない。それは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」で、カンパネルラとジョバンニが別れる直前に見た石炭袋の描写を連想させる

 (その底がどれほど深いかその奥に何があるかいくら目をこすってのぞいても何にも見えずただ眼がしんしんと痛むのでした)

 そのとき闇の中に野原やお母さんまで見えたのは、既に彼岸の人となったカンパネルラだけだった。「死の天使」の闇も死を目前にしたクレーにしか見えないものだったのだろう。口元を歪ませ無気味な笑いを受かべる天使は、「死と火」に登場する髑髏か冥府の番人のようだ。一連の天使像に共通してに流れているユーモアも、ここでは影を潜めている。

|

« 楽しいさえずりの機械 | トップページ | 険しい山道を天使に護られて »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/166379/10144548

この記事へのトラックバック一覧です: 死の天使:

« 楽しいさえずりの機械 | トップページ | 険しい山道を天使に護られて »