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2006年5月19日 (金)

まだ女性的な天使

Angel_syill_feminine  死の直前に描かれた作品群のひとつ。本来天使は男性も女性もない中性的な存在なのに、彼女は可愛らしい乳房を露にしている。表情はそれを恥じているようでもあり、両性を超えた存在になるためやはり何かを模索しているようでもある。ただし、この天使は「まだ手探りしている天使」に比べるとどこか力の抜けた感じがある。そういう十人十色の天使たちをクレーはすべて大切に住まわせておいた。

 写実主義の大家クールベは「天使は見えないから描かない」といったが、クレーの世界の住人たちの存在を私たちもほんの一瞬感じる時がある。それは固有名詞を持たない、ひとりひとりの心の動きの中に現れる者たちだ。そうした者たちに光を当て「見えるように」したクレーの眼の確かさと優しさにまた、私は胸を打たれるのである。

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