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2009/03/03

反戦イラク帰還兵の会は即時完全撤退を要求する

 オバマ大統領のイラク撤退期限の延期は、民主党内からも批判がある一方、逆に、マケインなど共和党からは、これまでの自分達の政策の正しさが理解されたと支持される始末です。

 これを見ても共和党やペンタゴンの中には、軍事力によるイラク支配の誤りを反省しないどころか、「対テロ戦争」を更に拡大しようとさえする考えが根強いことが分かります。油でにごった彼らの眼には、殺されるイラク人の姿も、使い捨てにされるアメリカ兵の姿も映らないのでしょう。これ以上犠牲の拡大を1日も許すべきではありません。

 先日は、27日のオバマ演説を受けてのCODEPINKの声明を紹介しましたが、今日は反戦イラク帰還兵の会(IVAW)の声明をご紹介します。

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■反戦イラク帰還兵の会は、オバマ大統領がイラクから完全な撤退を求めるのを見たい
【IVAW Wants to See Obama Call for a Complete Withdrawal from Iraq】
 http://ivaw.org/node/4932
(IVAW 27/Feb./2009)

 対テロ戦争帰還兵及び現役兵の組織として、反戦イラク帰還兵の会(IVAW)は、オバマ大統領が、わたし達の仲間である兵士を帰還させるために、重要な一歩を踏み出すことを歓迎します。しかしながら、18か月という長期間をかけて戦闘旅団を動かし、しかも3万5千人から5万人の軍を2011年いっぱい残留させるという計画は、ほぼ3年間にわたって不正義な軍の占領を続け、兵士達と無実のイラク人たちの命と生活を奪い続ける計画です。

 オバマ大統領は、任務が戦闘から支援に切り替わると言いますが、過渡的な兵力の一部は戦闘態勢のまま残されていて、「対テロ作戦の遂行」の余地が依然として残されています。彼の計画にはまた、イラクに15万人以上残っている民間の防衛業務請負業者と傭兵を引き上げさせるための日程がありません。さらに、永続的な軍事基地を禁ずる問題にも言及していません。

 同時に、彼はアフガニスタンに1万7000人以上の増派をしようと計画しています。彼は、兵士が「最も重い負担」を負っていることを理解していると言いますが、イラクだけから兵士を帰還させておきながら、今度はアフガニスタンの占領拡大のために戦わせるのでは、どれだけ負担が軽減されると言うのでしょう。どちらの占領も長引けば長引くほど、不十分なケアと経済的困窮に苦しむわたし達帰還兵の要求を満たすのは困難になるでしょう。

 わたし達は、今日軍事力で達成されているアメリカのイラク支配が、狡猾な法的、もしくは、財政的、経済的、政治的な手段でこれ以上続くことのないよう保証しなければなりません。元軍警察部隊軍曹で、IVAW議長のケリー・ドーアティーは、「イラクの人々は、完全に主権が尊重され、彼ら自身によって国家を統治するに値し」、それを達成するには、イラクから占領軍すべてが即時完全撤退する以外方法はない、と言います。「これは、すべての職業軍人、兵士、防衛関係の請負業者を撤退させるとともに、すべての軍事基地を閉じ、空爆を停止し、イラクの石油を支配しようとするアメリカの権益を放棄することを意味しています」

(仮訳どすのメッキー 3/Mar./2009)
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兵士一人ひとりにも取り替えられない人生がある ~ DVD「冬の兵士」を観て

 田保寿一さんの誠実な編集が感動的な「冬の兵士」を、胸が詰まる思いで観ました。

 いかなる主張であれ、選択であれ、その行き着くところは、個人一人ひとりの命でなければならないと思います。平和は、抽象的なものであってはいけませんし、平和を求める意志は、たとえ憲法があろうとなかろうと、それが現実的であろうとなかろうと、わたしやあなた個人の情熱から生まれるものでなければなりません。

 イラクで殺された子ども達一人ひとりに名前があり、短くても取り替えられない人生があるように、イラクで人を殺してしまった兵士一人ひとりにも、取り替えられない人生があります。

 DVD「冬の兵士」は、その事実を、平和運動に参加していると自称するわたし達でさえ、ときに実感を失っている事実を、強い説得力で語りかけてきます。

 人間が、自分の意思に反して進路をかえたり、能力の発揮を妨げられる時、そこに暴力がある、とガルトゥングの平和学は教えます。最大の暴力が戦争であることは論を待ちませんが、その暴力は、戦闘行為の直接の犠牲者だけにあてはまるものではありません。戦争は国家が行うものですから、国民の生活すべてを動員します。その中で誰しも加害者にも被害者にもなり得るのです。

 自衛隊が世界有数の軍備を備え、海外派兵への道が徐々に大きくなっている今でも、わたし達日本人が戦場で戦う兵士というものを想像するのは難しい。どうしても、血の通わない戦闘機械のような見方に傾き勝ちです。しかし、彼らも、わたし達と同じ世界に住む人間なのです。

 戦争が人間性を破壊すると言いますが、戦争と言う抽象的な魔物が魔法をかけるわけではありません。戦前の日本軍兵士は、貧しい農村からじゅうぶんな訓練も受けていないまま、補給路も確保されていない戦地に送られました。洗脳のように植えつけられたアジアの人々への差別意識が、最初から略奪が前提の様な作戦で何をもたらすでしょう。南京虐殺やマニラの火あぶり等等は、そうした具体的問題が集積した必然として起こったのです。

 目を覆うようなイラクでの米軍兵士の残虐行為も、交戦規定の軽視、中東の人々やムスリムの人々への差別意識の擦りこみ、デマによる恐怖の植え付け、指揮系統の混乱、過剰な装備の投入など、政策の誤りの必然として惹き起こされたものであり、兵士個人の暴走でかたづけてしまっては、公正とはいえないと思います。

 片足だけでなく、PTSDの発作によって仕事も家族も失い、何度も自殺を考えたマイク、二度目の召集で自殺を図るまで追い詰められながら戦友に対する負い目に苦しむクリストファー、テロと戦争の違いはどこにあるのかと問うリアム…。彼らはアメリカを愛し、自分の人生を他人の幸福のために使いたいと思って志願した人達です。しかし、アメリカは、ブッシュは、殺されたイラクの人の命にも、アメリカ兵の壊された人生にも責任を取りません。この作品が訴えるように、ブッシュは、イラク人、アメリカ人含め、この世代をまるごとぶち壊したのです。政権が変わっても、真の敵はまだ、手の届かないところでほくそ笑んでいます。

 ウィンター・ソルジャーを開いた反戦イラク帰還兵の会は、イラクからの軍の即時撤退、帰還兵の福祉の実現、イラクへの賠償を要求しています。アフガンへの増派や、イラク撤退の大幅延期を発表したオバマ大統領には、彼らの叫びが聞えていないかのようです。

 わたしは、以前宮沢賢治の童話「北守将軍と三人兄弟の医者」の作品論で、殺されることはもちろん辛いが、人を殺してそれが罪に問われないことはもっと辛いかもしれない、と書いたことがあります。身体的、経済的、精神的に苦しむ帰還兵がありのままの事実を人前で話す苦痛と勇気は、わたしが想像できるような容易なものではありません。

 戦争の生き証人である彼らの声を聞けば、戦争は例外なく酷く、汚いもので、「よい戦争」「悪い戦争」の区別などあり得ないことが、改めて胸深く刻みこまれるでしょう。

 あなたの大切な人と、彼らの声を聞きましょう。何度でも向かい合うべき作品だと思います。

 この作品が、一人でも多くの人に鑑賞され、やがて、平和を求める日本市民とアメリカ市民の連帯へと繋がっていくことを願ってやみません。

■「冬の兵士」ホームページ

 http://wintersoldier.web.fc2.com/wintersoldier.html

 上記から、DVDを購入できます。個人と団体の区別なく、上映会で使用する場合でも1本3000円です。3分の予告編も視聴できますので、どうかアクセスしてみてください。

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2009/03/01

オバマのイラク撤退計画は「公約違反」である

 オバマ米大統領は、2月27日、海兵隊基地キャンプ・レジューンで行われた演説で、イラクからの撤退計画に触れ、現勢力約14万人のうち、戦闘部隊約10万人を来年8月末までに撤退させるものの、残りの部隊については当面残留させ、完全撤退は2011年末とする方針を明らかにしました。

 選挙公約だった就任後16か月での撤退が延期されるという噂はありましたが、この演説はそれを裏づけるもので、しかも19か月という大幅な駐留延長となりました。(最初の撤退でさえ、3か月遅れています)残留部隊の役割について、オバマ大統領は「イラク人部隊を訓練するほか、軍事顧問として活動し、一部は限定的な対テロ作戦や米国人保護にあたる」としています。しかし、「冬の兵士」の証言でも確認されるとおり、イラク国民の多数の意志はアメリカ軍すべての即時撤退です。オバマ大統領は、「イラクは正統な統治機構を持つ主権国家」であるという自らの主張とどう整合をとるつもりでしょうか。

 この変更を、実務上のやむを得ないものとするのか、本質的なものとするのかアメリカでも意見は分かれているようです。全体的には、時期は公約どおりではなかったが、約束どおり手はつけたということを評価する意見が、日本のメディアなどでも多いように感じます。

 しかし、これはつい最近始まった占領ではありません。大義のないまま6年間も続き、侵略開始から既に「少なくとも10万人程度」、実際は100万人とも推定されるイラク人が犠牲となっているのです。イラク人、アメリカ兵ともに、これ以上の犠牲に何の意味があるのでしょうか。イラク戦争が誤りだと本当に認めるのであれば、即時全面撤退に着手するしかないはずです。

 以下は、アメリカの女性平和グループCODEPINKが、27日のの演説を受けてすぐ発表したコメントです。

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■オバマのイラク撤退計画は「公約違反」である
【Obama's Iraq Timetable for Withdrawal is 'Broken Promise'】
http://codepinkalert.org/article.php?id=4713
(Code Pink, 27/Feb./2009)

 オバマ大統領が今朝、イラクからの撤退期限を選挙公約より遅い2010年8月とし、一部は2011年まで残留させると発表したことに、CODEPINKは失望しました。

 オバマに投票したアメリカ人の多くは、彼が最初から、2009年じゅうに占領を終わらせると主張したことへの賛同によるものです。

「撤退への動きが積極的になる中で、この日程と何万人もの軍が残されることは、占領の終結と言うよりむしろ、その継続のように思えます」CODEPINKの共同設立者メディア・ベンジャミンは述べました。「そうはいっても、撤退に後ろ向きな過去8年間と比べれば、今は、撤退をもっと積極的に進めるよう政府に圧力をかけ続けることができる雰囲気があります。」

 CODEPINKに参加する女性達は、オバマとその政府に対し、イラクに残留する兵も含め、アメリカの軍隊すべてを直ちに撤退させるよう要求します。アメリカ政府は、軍隊による占領の替わりに、外交、人道支援、および難民の再定住に力をもっと注ぐべきです。軍隊を駐留させ続けることは、イラクの中に反対する武装勢力を増やすだけであり、イラク政府と各勢力に交渉力を与えることにはならないでしょう。さらに、アメリカ軍が駐留し続ければ、国際社会はアメリカの撤退の意志を疑い、外交と復興に関する努力への投資を控えるでしょう。

 「後に残される5万と言う兵力は大きな数字です」CODEPINKで企画宣伝を担当するダナ・バリッキは語りました。「そして、イラクに残された軍事基地が、アメリカの納税者から、本来家庭で必要とされる10億ドルを台無しにし続けることについて、いかなる言及もありませんでした。しかし、撤退とその期限は、小さくても過去の政策から前に進む第一歩です。大胆な変革へオバマを動かすのは、わたし達市民の役目なのです。」
(仮訳どすのメッキー 1/Mar./2009)
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