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2009/01/08

爆弾の数は数えられても あなたたちの数は数えられない

 「ガザからの手紙(18)」を読んで、だいぶ前に自分が書いた詩を思い出しました。

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■沈黙

「約600万人」

一桁のところで明滅するあなたの命
爆弾の数は数えられても
あなたたちの数は数えられない
誤差と呼ばれる数字の陰に
あなたの人生が折りたたまれている
スプーンからこぼれた砂糖のように
命はもう掬いあげることはできないが
その粒一つ一つを指でひろげて光らせていこう

「少なくとも3767人」

あなたの声は電波に乗らないが
あなたの吹き飛ばされた頭蓋や腕は
新聞の一行を書き加えることもできないが
私たちが踏み入れられない地雷原の中から
チェラの白濁した霧の中から
私たちの不器用に重い衣服や胃袋を拘束する

私たちを置いていくな、
そのまま前へ進むな、と

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 2001年、タリバンがオサマ・ビンラディンを匿っているとして、米英がアフガニスタン空爆を開始して間もなく書いたものです。

 詩や童話の制作に没頭しかかっていたわたしは、その後半年ほどで思うように文章がかけなくなり、創作の筆を絶ってしまいました。

 911以後だけでも、人間は何度このような悲劇を繰り返しているのでしょうか。イスラエル対ハマスと言う図式は表層であり、抵抗もできず殺されていく多くの人々こそ本質です。

 パレスチナ人を虫けらのように虐殺しているイスラエル兵も、きっと家に帰れば子どもを気遣う良き父親であり、堅実な息子なのでしょう。たまたまパレスチナ人に生まれて地獄を見るのも耐えられない悲劇なら、たまたまイスラエル人に生まれて人殺しに加担するのも幸運とはいえないでしょう。

 それでも、憎しみや、何かを手放したくないという欲や驕りから解放されて、せめて人殺しの過ちから人間が自由になる思想が必ずあるとわたしは信じます。

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