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2009/01/23

就任後もイスラエルの犯罪を追及しないオバマ新大統領

 今日、やっと映画「チェ★28歳の革命」を観てきました。続編の「39歳別れの手紙」とともにすぐに予約券を購入していたのですが、所用でなかなかいけませんでした。以前、「モーター・サイクル・ダイアリーズ」のガエル・ガルシア・ベルナルも似てると思いましたが、今回のベニチオ・デル・トロはまるで生き写しですね。緻密な取材によって、ゲバラの人間性、農民への愛情、不正義に対峙する勇気、いかなるときも揺らがない原則性が見事に浮き彫りにされていました。一生のうち、一度でも他人のために命を投げ出せる人間さえほとんどいませんが、ゲバラは自らの意思でそれを二度も行ったのです。わたしは、どんなに優れた人物でもカリスマ化するのは嫌いなのですが、人間の生き方を百万語使ってだらだら話すより、子ども達や若者にはゲバラの生き方を映画や本で知ってほしいといつも思っています。

 世界は、オバマ新大統領の「チェンジ」の方向性も確かめないまま、それぞれが自分に都合のいい夢を期待して酔っている様に見えます。そんな中、ゲバラが求め、達成した本当の「変革」を知ってほしい、そう願っています。

 200万人もの前で行われた20日のオバマ新大統領就任式の演説は、世界中に配信されました。しかし、彼は、就任後直ちに中東和平問題に取り組むと明言していながら、現在世界の関心が集まっているガザ危機に関する具体的な方針はまったく語られず、中東諸国からは、「オバマは最近テレビを見ていないのか」と失望の声もあがりました。

 就任式から一夜明けた21日、彼は最初の仕事のひとつとして、エジプトのムバラク大統領、イスラエルのオルメルト首相、ヨルダンのアブドラ国王、およびパレスチナ自治政府のアッバス議長に電話をかけ、「停戦」を支持することを表明したうえで、「ハマスの再軍備を防ぐ効果的な密輸防止体制の構築と、ガザのパレスチナ人のための復興事業を進めるためパレスチナ当局と協力関係を促進する努力への決意」を表明しました。

 驚くべきことに、彼は、ハマスの武装解除を要求しながら、イスラエルの戦争犯罪や、人権侵害行為の再発防止には言及していないのです。(「停戦」後のハマスの勝利宣言も、あまりに無責任だと感じましたが…)

 わたしは、アメリカで市民がブッシュ政権の誤りを明らかにし、政策の転換を国民大多数の意思につくりあげた努力、そして、史上初の黒人大統領誕生の歴史的意義をいささかも軽視するものではありません。しかし、彼が黒人であることによって、彼の大統領としての評価にあまりにもバイアスがかかりすぎていると思わざるを得ません。

 イラクからの撤退、グアンタナモ収用所の閉鎖に着手したことは評価できますが、彼は就任演説の中で、アメリカのこれまでの干渉政策、覇権主義を反省しているわけでもないし、弱者救済の一義的責任が政府にあることを認めたわけではありません。ブッシュはやり過ぎだった、と言っているに過ぎないのです。

 アメリカ中が熱狂に包まれている中、シンディ・シーハンが、「マルチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の日」(アメリカの国民祝日、今年は1月19日)を前に、Dandelion Salad(「たんぽぽサラダ」の意)というメディアに寄稿して気を吐いています。キング牧師への尊敬を述べた後、オバマ氏について触れた箇所をご紹介します。

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【The Legacy of Dr.King by Cindy Sheehan】
 http://tinyurl.com/bydc3g
(16/Jan./2009 Dandelion Salad)

(以下、後半の抜粋)

 最後に、わたしは、キング牧師の遺志を思い泣きました。彼は1964年「公民権」法が制定されてから「40年」以内に、アメリカは世界じゅうで黒人が要職に就くのを見るだろう、と希望を込め語りましたが、わたしは、オバマに、キング牧師の非暴力という遺産の継承も、構造的変革も期待することができません。

 私は、白人以外の人が大統領に選出される時期が来たと思っていましたし、黒人社会が彼の勝利に沸く気持ちも分かります。それでも、オバマは、キング牧師の遺産を実行するのではなく、むしろそれを裏切って反対のことをしようとしているのは間違いありません。

 彼は、閣僚に軍国主義者や白人指導者層ばかり起用して、黒人はほとんど起用しませんでした。ウォール街を救うため彼が1兆ドルもの支援を決めたことからも、彼が自分自身と、銀行の道具にされた貧しい人々を裏切ったことが分かります。

オバマがいかに戦争に献身的かは、「わたしは戦争自体否定しない。愚かな戦争に反対するだけだ」という、彼が披露した発言だけでなく、彼の行動でも同じく明らかです。イラクから「戦闘部隊」を引き上げると約束している一方で、彼はアフガニスタンには劇的な軍の増派や、約10万人規模の軍備増強を明言しています。オバマは、ガザに閉じ込められた人々に対するイスラエルの「自衛」権にも理解を示しています。

 わたしは、マルチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の日に国中でパレードを行う国が、必要な兵隊を確保するため、貧しい地域に軍が戦車とリクルーターを送り込んでいるという報告を、国中から聞きました。10万人もの部隊をいったいどこから調達すると思いますか?戦争で大もうけする銀行家や民主党員は、彼らの子どもや孫にオバマの戦争で喜んで戦うよう説得しはじめるのでしょうか?

(仮訳どすのメッキー 23/Jan./2009)
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N55960682153_1123  さらに、シンディは20日別の場所で、「オバマが忌々しく偽ものの『対テロ戦争』を本気で終わらせる積りなら、イラクとアフガン両方から軍を引き上げ、パトリオット法を廃案にし、ブッシュ元大統領とチェイニー元副大統領を逮捕して起訴するべきです。もしオバマが戦争屋ではなかったら、私は頭を丸めてオバマ支持者に謝罪すると約束します」とまで宣言。この心意気はただものではありません。

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