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2009/01/01

イスラエルのガザ襲撃に沈黙を守るオバマ次期大統領の意図とは?

 ガザ地区の空爆を続けているイスラエルのオルメルト首相は31日、治安閣議で、「ロケット弾攻撃が続いているのに停戦はできない」と述べ、フランスなどが進めていた48時間の暫定停戦案を拒否し、攻撃を続けると発表しました。

 麻生首相も攻撃停止の話を持ちかけたようですが、ほとんど相手にされていません。

 そんな中、ブッシュ政権時代からの「チェンジ」を掲げて期待を集めるオバマ次期アメリカ大統領が何をしているのか、まったく見えてきません。その点について、アルジャジーラが記事を書いています。

 オバマ氏は、イラクからの撤退を主張していると言っても、アフガンは増派を計画していますし、イランへの攻撃にも賛成でした。そこで、パレスチナ問題への対応はどうか、ですが、早くも幻想が崩れかけているようです。

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■非難されるガザに対するオバマの沈黙
【Obama's Gaza silence condemned】 
http://english.aljazeera.net/news/americas/2008/12/2008123101532604810.html
(31/12/2008 Aljazeera)

 イスラエルがガザで空爆を開始して以来、数百人が殺された。
 ガザの危機に対する発言をバラク・オバマに求める圧力が高まっているのにもかかわらず、アメリカの次期大統領はこの件に沈黙を守っている。
 ハワイで休暇を過ごしているオバマは、すでに380人以上が殺害されたパレスチナの領土に対するイスラエルの容赦なき武力行使に対し、何ら公式の見解を発表していない。 前イリノイ州の上院議員の彼は、先月のインド・ムンバイでの襲撃事件後も発言したし、アメリカの経済危機には詳細な声明を発表している。
 しかし、アメリカの次期大統領がガザの襲撃に対しはっきりと意見を述べるのを渋るということ自体、ある種特定のメッセージを送ることになるかもしれない。
「沈黙はほとんど共犯のように思われる」the Conflicts Forum groupのワシントン・ディレクター、マーク・ペリーは、アルジャジーラに語った。
「オバマは、イスラエルはロケット攻撃から自衛する権利があると言ったが、私が聞きたいのは、彼は、パレスチナ人にも同じように自らを守る権利があると信じているのかどうかだ」

■イスラエルの支持

 イスラエルは、南部イスラエルに対するパレスチナのロケット攻撃を防ぐため、作戦は不可避だと言う。
 そして、オバマは、選挙戦期間中、アメリカの最も重要な同盟国のひとつとしてイスラエルを支持し、安全保障を確実にすることを誓う、と繰り返し表明した。
 オバマは、スデロトを訪れたとき、パレスチナのロケット弾について説明を受けた。
 6月、エルサレムがイスラエルの不可分の永遠の首都であると彼がイスラエル・ロビー団体に語ったとき、アラブ世界の怒りを呼び起こした。
 彼はまた、パレスチナからの恒常的なロケット攻撃の目標となっていたガザに隣接したイスラエルの町スデロトを7月に訪問し、住民への支援を示した。
 イスラエルの国防相エフド・バラクは、襲撃の開始にあたって彼自身を正当化するため、オバマがイスラエル訪問中行ったコメントを引用した。
「オバマは、彼の二人の娘が眠っている間ロケットが彼の家に向けて発射されるなら、それを防ぐために手段を選ばないだろうと言った」と月曜日にバラクが語ったと報じられた。 オバマの補佐官は、オバマは状況を見守っており、継続して情報の要約を受け取っているが、彼はまだ大統領ではないのだ、と繰り返し弁明した。
 しかし、現職の大統領であるジョージ・ブッシュもまた、ホワイトハウスがイスラエルを支援しているにもかかわらず、イスラエルの攻撃に対し沈黙を続けているのだ。

■悲観的なアラブ人

 多くのアラブ人は、11月オバマの大統領選挙の勝利を慎重ながら楽観的に受け止めていた。ホワイトハウスの顔ぶれが一新されれば、イラクに侵攻しイスラエルを強力に支援したブッシュ政権よりはましになるだろうと信じて。
 しかし、彼の外交政策チームの選択、特に国防長官にヒラリー・クリントン、首席補佐官にラーム・エマニュエルを指名したことは、大きな変化に疑問を抱かせた。
 それでも、オバマの沈黙を彼自身の立場とイスラエル・ロビーの力を超えた用心深さの兆候であると見なすこともできる。
 エジプトの政治学者で、アンマンのthe Arab Thought Forumの事務総長であるハッサン・ナーファは、「彼は慎重を期そうとしており、アラブとイスラエルの紛争は彼の重点課題のひとつではないため、今後も積極的な動きはしないだろう」とロイターに語った。
「オバマの立場は非常に不安定だ」ベイルートのアメリカン・ユニバーシティの政治学教授Hilal Khashanは付け加えた。「ユダヤ人ロビーは選挙でオバマを支持してはいない。そのため、彼はガザについて沈黙を守る道を選んだのだ」

■抗議行動は変化を要求する

 しかしながら、多くのアメリカ人が、オバマががガザの出来事に関して彼自身の意見を述べるよう求めている。
 抗議する人達は、月曜日は、ワシントンD.C.にあるオバマの引継事務所に、火曜日には、ハワイの彼の別荘のまわりに集まって、彼が積極的に行動するよう要求した。
「オバマ政権は、ブッシュ政権と非常に親密な関係がある」連邦政府で働くマイク・レイツは、オバマの事務所で抗議を行ったとき、アルジャジーラに語った。「何か完了させるために、両者が手を組めない理由はどこにもない」
 火曜日ホワイトハウスの前で行われたイスラエルのガザ攻撃に反対する別の抗議行動では、中東和平に対するバラク・オバマの貢献に疑問が投げかけられていた。
「あなた達が論じていた変化とはこんなものですか?」イラン出身のコンピュータ技師のReza Aboosaiediは言った。
「これで何か変わったというなら、あなた達はとんでもなく間違っている。なぜなら、アメリカの諸々の経済問題やその他の問題に、中東のこの種の問題を加えたら、オバマが対処できるとは思えない」
 しかし、抗議行動の他方では、イリノイ州の元上院議員は、何か違うことをやれるのではないかと期待している人達もまだいるように見える。
「オバマが、ブッシュよりも積極的に、イスラエルとパレスチナを和平会談の席に着かせる議事日程を推し進めてほしいと思うが、そうした動きを知らない」弁護士のボブ・マーロンは言った。
「でも、私は楽観主義者だ。だから希望は捨てないんだ」

(仮訳 どすのメッキー 1/1/2009)
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 アメリカは、イスラエルの武力行使、戦争犯罪の一貫した擁護者です。2004年、イスラエル軍がガザ地区に大規模襲撃をした際も、イスラエル軍の即時撤退を求める安保理決議案が、15か国中、11か国が賛成したにもかかわらず、米国の拒否権行使により否決されました。(英国、ドイツ、ルーマニアは棄権)2001年、パレスチナ人統治地区からのイスラエル軍の撤退と、イスラエル軍による民間人へのテロ行為に対する非難決議も、2002年イスラエル軍による国連職員数名の殺害と世界食料計画(WFP)の倉庫の破壊に対する非難決議案も、アメリカの拒否権発動で否決されました。

 2004年の拒否権発動に関し、Power and Interest News Report (PINR) 10月7日付が、なぜ米国はイスラエルを支持するのか(Why the United States Supports the State of Israel)、という論文を掲載しています。

 その中で、 Erich Marquardt氏は、米国が一貫して支持してきたイスラエルという国は地理的には分離されているものの、中東での米国の利益-石油-を守ることによって存続する依存した関係であり、どんな独立した中東の力が安く安定した石油の供給を妨げるのも許さないと述べています。そして、経済的にも軍事的にも中東を西洋に依存させるのが目標であり、それに逆らった典型がエジプトのナセルとイラクのフセインだった、そうした事態に対してイスラエルは米国の中東における戦艦(battleship in the Middle East)の役割を果たしてきた、としています。

 その政策を忠実に実行して袋小路に追い込まれたのがブッシュ政権でしたが、間もなく発足するオバマ政権は本当の「チェンジ」を見せられるのでしょうか。

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