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2007/09/25

人間の生命を自動処分する法相

 日本の閣僚のひどい発言は、もう慣れっこですが、再任した鳩山法相が辞職直後に発したこの発言に匹敵するほど、殺伐として無責任な心情が露になったものを、すぐに思い出せません。

【<死刑>「執行は自動的に」…鳩山法相、辞職後の会見で】
 http://tinyurl.com/3xh532
(毎日25日)

「法相が絡まなくても、半年以内に執行することが自動的、客観的に進む方法がないだろうか」
「(確定の)順番なのか、乱数表なのか分からないが、自動的に進んでいけば『次は誰』という話にならない」

 世界で、死刑制度の是非について決して少なくない議論があり、昨今の日本の続けざまの死刑執行に対する批判の声も当然聞いている中、彼はそれに反論するでもなく、そんな議論は関心を持つに値しないと莫迦にしているようにさえ感じます。

 私は、人間の生命を合法的に奪う理由は成り立たないと考えます。それを是とするのであれば、国家組織である軍隊の無差別殺人や、一犯罪者の殺人を行為として批判する根拠を失います。

 まして、たとえ制度上死刑執行の最終決定を下す法務大臣と言う職に就いたからといって、個々の事件に直接的にも間接的にも関わってさえいない一個人が、神のように生殺与奪の権利を与えられるわけではありません。法相の信条だろうが、宗教的理由だろうが、何であれ、そこで一人の人間の生命を奪うことの重みを再確認することが悪かろうはずがありません。

 たとえ犯罪者であっても、「自動的に」とか「乱数表」でとか、人間の生命に対する尊厳を少しでも意識する人間なら、決して口にできないのは当然のこと、発想さえしない言葉だと思います。

 このような人間を法治国家の実務責任者にしてして恥じない前安倍内閣とそれを引き継ぐ福田内閣に、血の通った政治ができる道理がありません。良識ある野党なら、政治家の資質の根幹に関わる問題として追求すべきです。

 小泉八雲に、「停車場にて」という印象的な短編があります。(怪談ではありません)そこでは、100年前八雲が実見した話として、極悪人といえどもその中には大衆が共感できる人間味があり、警官も(たぶん死刑に処される)男の本来の人間性を被害者と大衆にわざわざ見せて自ら涙する様子が、「東洋的」な心動かす場面として描かれています。そういう日本を愛した八雲が、今生きていて鳩山法相の言葉を聞いたら、なんと書くでしょうか。

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